59.職員室(外部)の宿命

業務改善

前回見たように、学校現場には人事についての宿命があります。これは現場で働く自分たちではどうしようもない課題です。

一方で、学校現場の外側にも大きな課題があります。これも現場の努力だけでは解決できない課題です。

こんにちは。BigWaveといいます。公立中学校の現役教頭です。奇妙な生態を持つ教師「教頭」。そんな「教頭先生」の頭の中を公開します!

  • 地域が思う「良い学校」と学校が目指す「良い学校」は違う

授業改善を進めていく中で、生徒や保護者から「先生が勉強を教えてくれない。」といった意見が出ることはありませんか?

学習指導要領の改訂に伴い、一方通行の一斉講義型の授業からの脱却が進められています。協同学習を始め、最近よく耳にする探求学習自由進度学習など、学校教育に大きな方向転換が起こっています。

一方で、多くの保護者や一般の方々が持つ「教育」のイメージは「先生が一方的に知識を伝える一斉講義型」のままです。

これまでは「分かりやすく上手に教えられる先生」「良い先生」という基準でした。学校もその基準で何十年も保護者との連携・授業改善・人材育成を続けてきました。

令和4年に、学校改革に取組んでいる学校の公開研に参加させてもらいました。授業での試行錯誤やルールメイキングの活動報告、アンラーンをテーマにした講演を聴かせていただきました。非常に学びが多い公開研でした。

その少し後に、間接的にですがその学校の校区に住んでいる方のご意見を聴く機会がありました。一部の意見ですが、地域住民の中には「最近、(その中学校が荒れてきた」と感じておられる方がいたようです。

その学校では、制服の部分的な自由化にも取り組んでおられたので、制服だけでなくジャージ姿の生徒パーカーを着ている生徒も多くいました。

校区に住んでいる人たちは、実際に校内での生徒の活動を見る機会がありません。登下校時に歩いている姿がそのまま学校の様子を見取るほぼ唯一の材料になります。

これまでは、「全ての生徒が同じ制服をビシッと着こなせている」のが「良い学校」でした。学校も何十年もその基準で、保護者と連携し生徒指導を行ってきました。

先進的な取り組みの中では、服装選択は、「主体性・多様性の表れ」としてポジティブな印象を受けます。でも一般的な基準では、生徒が自由な服装をしていると、「荒れの表れ」とまだまだネガティブな印象になりがちです。

「予測困難な時代」に対応していくために、「令和の日本型学校教育」が推進されています。これに答えようと学校現場は、鎖のような現状維持バイアスを引きずりながら変化し始めています。

でも、学校がある地域に住む人々の変化は誰が推進していくのでしょうか?

1.生徒
まずは生徒と目的や方法を共有することが大事です。集会や毎日のホームルームの時間に、こまめに繰り返し、「なぜこんな取り組みをしているのか?」を伝えていく必要があります。

その努力が積み重なって、生徒は「令和の日本型学校教育」による学びを体現し、理解のある大人に成長してくれます。

2.今の保護者
多くの保護者は、子どもが納得していると同じく納得されることが多いです。保護者からクレームがあるのは、ほとんどの場合、生徒が納得できていないからです。ですから、生徒との目的や方法の共有が、そのまま保護者の理解にもつながります。

加えて、年度初めに「授業改善に関する説明会」を行い、直接保護者にも取り組んでいる目的や内容、方法を伝えていければさらに効果が期待されます。

もちろん、PTAなど保護者の代表を担っていただいている方々に、さらにこまめに話をして理解を得ていきたいです。PTAとも足並みをそろえて取組めれば言うことありません!

3.地域住民
大きな課題はこのレベルです。頑張っている生徒が「荒れている」と思われるのは避けたいです。でも何十年も続けてきた「良い学校」の思い込みを変えていくのは、さらに時間がかかりそうです。

コミュニティースクールなど、地域の代表の方々に説明できる機会はあります。残念ながら、私自身まだ具体的なチャレンジはできていません。でも、状況を変えていけるとしたらここだと思います。

文部科学省や教育委員会の頑張りにも期待したいところです。

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