日々授業改善や業務改善など、色々なチャレンジをされていると思います。
課題の発見から共有、改善方法の提案、実行、検証と軌道に乗せるまでが大変です。
でも、軌道に乗せて一安心という訳ではありません。次に大きな課題が待ち構えています。それは宿命ともいえる難題です。
こんにちは。BigWaveといいます。公立中学校の現役教頭です。奇妙な生態を持つ教師「教頭」。そんな「教頭先生」の頭の中を公開します!

激しい入れ換えに対抗するには全員で
みなさんが理想とする学校が実現したと想像してみてください。おそらくそこでは、みんなが同じ目的を持ち、足並みをそろえて日々の教育活動に取組んでいるはずです。
私なら、教育活動ではもちろん教職員間でも多様性が認められ、ありのままの自分を認めあえる心理的安全性が担保された職場なんかが理想です。
もう少し想像してみましょう。
3月。年度末の業務に追われる中、次年度の人事が分かってきます。
3月20日、足並みがそろっていた全教職員35名のうち、7名が異動することが分かりました。
そのうち1名はリーダーシップを発揮してくれていたメンバーです。さらに、生徒数減で教職員数が2名減になることが判明します。
新しく迎える先生は5名。採用試験に合格した新卒新採の教諭が1名、新卒講師が1名、経験がある講師が1名、6年目の教諭1名と13年目の教諭1名です。
3月24日、校長先生も移動することが分かりました。5年間、職場改善を牽引してきた方です。
4月1日。校長先生と7名の姿は無く、新しい校長先生と5人の先生方があいさつをします。
この段階で、足並みをそろえるのは不可能です。これは最悪のケースではなく、年度末・年度初めにはごくありふれた光景です。もっとギリギリまで人事が分からない学校もあると思います。
校長先生同士の引継ぎが上手くいって、前年度の学校経営方針に大きな変化がないのならまだいいのですが、大きく方針転換する場合、混乱は大きくなります。
さらに頭が痛いのは、この割合の異動が毎年起こるということです。5年もたてば、職員室の顔触れはガラッと変わります。
これが職員室の避けられない宿命です。
激しい入れ替わりという難題に立ち向かうにはどうすればいいのでしょうか?
一つはっきりしているのは、校長先生を中心としたトップダウンの組織では対応できないということです。
何を始めるにしても始めは誰かが先頭に立つ役割を担います。リーダーが粘り強さを発揮して、重たい現状維持バイアスを打ち破り、組織が動き出します。
でも前述の職員室の現状を考えると、いつまでもリーダーに頼ってはいられません。一定の軌道に乗った段階で、リーダーシップに頼る組織からの脱却が必要です。
新しい組織では、リーダーがいなくても組織が回らなくてはいけません。そのために、
1.共通の目標がある。
2.全員が主体的に活動する。
3.全員が自分の役割に責任を持つ。
4.全員が他者の成長に責任を持つ。
5.適切な助言を得たうえで、全員に意思決定権が発生する。
6.それらを実現する心理的安全性がある。
と言ったことが職員室に確保されている必要があります。一言で言えば、トップダウンの組織運営ではなく全員による組織運営です。
「ザッポスの軌跡」(石塚しのぶ著)や「ティール組織」(フレデリック・ラルー著)に書かれている組織の姿を知ったとき、まさにこれだと思いました。
難しそうに聞こえるかもしれませんが、そうでもありません。もうすでに一部を実践されている学校が多いと思います。
多くの人は、学校はトップダウンの組織だと思っています。でも実際の所、学年の取組みや校務分掌の分担など、多くのことを自分たちで考えて周りから助言をもらい、決定していると思いませんか?
校長先生に直接意思決定してもらっている業務は、全体からすれば一部分です。
加えてもう一つ。「全員が主体的に責任を持って、助言を得ながら意思決定していく」この働き方は、今まさに生徒に求めている「主体的・対話的で深い学び」の先にある働き方です。

学校では生徒に身に付けてほしい力を、教師も実践しながら磨いていくことができます。
ブラック校則など、よく「学校現場は考え方が古い」と言われることがあります。でも実は、学校は時代の最先端の働き方を模索している現場なのかもしれません。
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