32 やってみた「校則改訂編2」

職員室での働き方

最近、校則についての記事を目にすることが多いです。さらに令和4年に生徒指導提要が改訂され、校則改訂に向け強い追い風が吹いています。

長年引き継がれてきた「校則」「生徒心得」に手を加えるには今が絶好のタイミングです。

でも、具体的にどうやって校則改訂が実現するのでしょうか?

6年前のチャレンジでの失敗を糧に、再度チャレンジしてみました。今回はちょっと長めです。

こんにちは。BigWaveといいます。公立中学校の現役教頭です。奇妙な生態を持つ教師「教頭」。そんな「教頭先生」の頭の中を公開します!

  • 自分たちの主体性も育てる。

前回のチャレンジで学んだことは、
・意見を言いやすい雰囲気がないと、思うことはあっても意見を言えない。
・変わることに対して抵抗がある人がいる。
・やりたいと思っても、多忙感に圧迫されて動けない人もいる。

といったことでした。これらの課題をクリアするために、ずっと意識していたのは「心理的安全性」でした。

「心理的安全性のつくりかた(石井 遼介 著)」では、心理的安全性の4つの要因として、

1.話しやすさ
2.助け合い
3.挑戦
4.新奇歓迎

を上げています。まさに今回のチャンレンジの土台になるものです。生徒の主体性を育成できる取組みを行うには、教師の主体性も育つ必要があります。

なので、まずは学校という職場で「話しやすさ」「助け合い」「挑戦」「新規歓迎」を実現していこうと思いました。

教頭で着任して1年と7カ月。職場の雰囲気はかなり良くなり、メンバーにも恵まれていました。

教頭はだいたい3年で異動になるので、タイミングとしては今しかないと思い、校則改訂に向けて再チャレンジすることにしました。

前回同様、誰でも参加OKの流動的なチーム会議で検討することにしました。前回と同じ轍を踏まないために、新たにいくつかの取組みを行いました。

1.事前に教職員にアンケートを実施。
2.会議はなるべく多くの人が参加できる日時に実施。
3.職員室内にコーナーを設置し、会議の議事録を掲示。
4.職員室のコーナーに、次回の検討内容を予告。
5.毎回、誰でも参加できることを連絡。
6.地域教育協議会で経過報告と、アンケートを実施。
7.PTA実行委員会で経過報告と、アンケートを実施。
8.生徒会メンバーにアンケートを実施。
9.全てのアンケート結果を集約して教職員で共有。
10.その年の12月に生徒指導提要が改訂されたので、その内容も検討。

11.会議を12回実施。

誰でも参加OKをしつこく強調していたこともあって、会議を覗いてくれる先生も数名いました。校長先生もほぼ毎回参加していただきました。

じつはここでもう一つ試していたことがあります。それはチーム会議制です。これが上手く機能すれば、全員参加の会議の回数を減らし、教師の主体性を育成することができます。

12回の会議を経て決めたことは、「今ある校則を全て撤廃し、生徒と一緒に校則を作り直す。」ということでした。教師も生徒も自分事として校則を見直す土台ができました。

具体的にどうなるのか、もちろん不安もありますが、その中で生徒も教師も主体的・対話的で深い学びができれば、最高の教材になると思っていました。

これまでの経過は職員室の掲示コーナーを通じて、全て先生方と共有していたのですが、改めて職員会議で決定事項を報告することにしました。

そして…、ここで驚きの展開がありました。

どうしても納得できないと、一人の先生が会議後に話に来たのです。前回のチャレンジと同じことが起こりました。

結局その先生とは1対1でじっくり話をしました。十分納得してもらうまでには行きませんでしたが、何とか継続できることになりました。

全て上手くいっている感触があり、「先生も成長できる学校に大きく前進した!」と思っていたのですが、見事な独りよがりでした。

私の知る限り、地域や保護者の要望もあり、学校は頑なに生徒に「校則」を守らせてきました

それが何十年も続いているのですから、「新奇歓迎」に発想を変えるのは容易ではありません。

それは分かっていたつもりだったのですが、まだまだ甘かったです。

次年度の取組みが成功体験となって、生徒も教師も成長を感じられる1年になるように、気持ちを新たに試行錯誤していきたいです。

で、この話は終わりたかったのですが、最後に更なる驚きの展開が待っていました。

異動です。

しかもメインで取り組んでいた私を含めた3名のうち、2名が異動になりました。残った1人には本当に申し訳ない気持ちになりました。

でも、残った先生はこのチャレンジを継続してくれています。本当に感謝しています

あのめちゃくちゃ議論した時間がまだ生きていると思うだけでもうれしいです。

今は新しく赴任した現任校で、三度目のチャレンジに向け楽しく仕事をしています。また報告します。

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