年末ですね。2学期はいろんなことがあったので、それらを乗り越えて無事年末を迎えることができてホッとしています。
さて前回の続きです。どんなことでも全員で取り組もうとするなら、「情報共有」と「行動指標共有」が不可欠です。
この2点に課題があると分かれば、その課題を解決すればいい訳です。簡単なように聞こえますが、これがまた難しい…。
こんにちは。BigWaveといいます。公立中学校の現役教頭です。奇妙な生態を持つ教師「教頭」。BigWaveのアジトはそんな「教頭先生」の頭の中を公開する教頭ブログです。

→給食配膳を主体性向上と集団づくりの取組にする
情報共有
集会での整列などで課題がある場合は、集会に参加した全ての先生方がその課題を目の当たりにするので、一瞬で情報共有ができます。その後の課題解決に向けての話し合いもスムーズです。
しかし給食配膳はそうもいきません。
給食配膳は授業時間外に行う活動で活動範囲も広いです。廊下の移動や配膳室での活動、教室内の配膳・片付け、そして移動を伴う返却など、先生でも生徒でもこの取組み全てを見ている人はいません。
色々な場所で多くの先生が分担を担い、責任を持って行動してくれていることで、給食配膳が成り立っています。
裏を返せば、それぞれの担当者が見ているのは、給食配膳の一部分だということです。
もし見ている部分での配膳活動が上手くいっているのなら、その担当者にとって給食配膳は「上手くいっている活動」になり、改善の必要性も感じることはありません。
逆に、上手くいっていなくて課題を感じたら、何かしらの改善が必要と感じるでしょう。
でも他の先生が「上手くいっている」と感じているのなら、給食配膳の課題についての話が持ち上がることはありません。こちらから課題提起してものれんに腕押しで、モヤモヤしてしまいます。
その一番の原因が「情報共有」ができていないことです。
給食配膳は全生徒と全教職員、そしてかなり広範囲の移動を伴う活動です。もし部分的に上手くいっていないことがあるのなら、先生方と課題共有を意識して行っていく必要があります。

「行動指標共有」
これまで見てきた「上手くいっている」「上手くいっていない」を判断する際は規準となる「行動指標」が必要です。
加えて、大人数で取組む場合は、その行動指標を「共有」することも必須です。
当たり前の話なのですが、これが意外とできていません。
かく言う本校でも、給食配膳が上手くいっていない原因の一つでした。どんな行動をすればいいのかがハッキリと分かっていれば、行動しやすいです。
生徒がどんな行動をすればいいかが分かっていないのなら、どんなに声をかけても「改善」はされません。
また先生方が分かっていなければ、生徒にどんな声掛けをすればいいのかも分かりません。
さらに話をする土台が無いので、教師同士や生徒同士、そして生徒と教師で協力して、「給食配膳」をより良い活動にしようとしても、話し合いが全く深まりません。
例えば、「配膳担当はマスクを着用する」と先生方はもちろん生徒たちとも共有するだけで、マスクについて声掛けができるようになります。
もちろん、声掛けと言ってもできていない時だけではありません。ポジティブ行動支援(PBS)の観点から、できていることに対する褒める評価も大事です。
とは言え、このマスク着用にも課題がありました。
たかがマスク、されどマスク。マスクを忘れた生徒にはマスクを家から持ってくるように何度も言うのですが、なかなか持ってきません。当の本人たちがあまり必要性を感じていないのでしょう。
マスクをする理由を理解してもらうことも一つの方法ですが、今回はマスクを忘れたときに具体的に行う行動を共有しました。
「マスクを忘れた!」→「クラスで用意してもらっている予備のマスクを借りる。」→「借りるのを忘れた!」→「配膳室の近くに用意している貸し出し用のマスクを借りる。」この流れを、先生方と生徒たちとで共有しました。これで格段に生徒に声掛けがしやすくなりました。
以前は「マスクを忘れないように!」とだけ声掛けをしていて、「翌日も忘れる」を繰り返していました。
しかし今は、何をすればいいのかを生徒と共有できているので、「明日忘れたら教室で借りてきてください。」や「そこにあるから取ってきて」と具体的な行動を伝えることができます。
これで全員がマスクを着用できている状態になれるのでPBSすることができます。PBSを繰り返すことで教師だけでなくクラスのメンバーから忘れた人へ声掛けしやすい雰囲気を作っていけます。
用意しなくてもマスクがあるので結局持ってこなくなる可能性もあります。
そういう生徒もいるかもしれませんが、「先生、今日はちゃんと持ってきたで!」と報告してくれる生徒も現れます。こっちがPBSされているみたいです。

マスク以外にもエプロン着用や欠席者分の補充要員の確保など、生徒主体で行えるように行動指標を共有しました。
取組み当初は生徒と行動指標の確認を随時行っていましたが、日に日に生徒主体で行動できている場面が増えてきました。
行動指標を明確にし共有したことで、先生方との情報共有もしやすくなりました。
取組前はマスクやエプロンを忘れた際、「クラスに予備が無い」や「担任の先生は何も言ってなかった」といった発言が多く、担任の先生と十分相談できているとは言えない状況でした。
そこで先生方に予備のマスクを教室で用意することと、こちらで準備をしておくので予備のエプロンを十分確保することを繰り返しお願いしました。
生徒が行動指標にそって行動できる準備をしてもらった後は、マスクやエプロンの課題は激減しました。
配膳で何か課題があれば「担任の先生に相談して」と生徒に伝えるようにしました。
今回、現状の共有と行動指標を共有して、1か月の期限を区切って給食配膳改善月間としました。
行動指標を決めたことで、生徒たちをPBSする機会も激増しました。たった1か月でしたが、その効果は非常に大きかったです。
給食配膳はひたすら毎日コツコツ行われる活動なので、これからも良い意味でも悪い意味でも集団生活の土台を固める活動になります。
今回の成果を、今後の主体性向上や集団づくり発展に行かせていければ理想的です。
ところで「情報共有」と「行動指標共有」は生徒指導では必須の要素です。昔から重要視されてきました。
それが給食指導で十分機能していなかったのはなぜなのでしょうか?実務的な担当者の不在?教職員の若返り?画一的な指導の敬遠?
正直よく分かりませんが、今回の取組は守破離の守が無ければ、注意することも褒めることもできないと改めて感じるキッカケとなりました。