108.教頭先生へ 教頭の現実

教頭先生へ

教頭は「校長を助け、校務を整理し、及び必要に応じ児童生徒の教育をつかさどる」のが役割です。そして全ての業務の本質は先生方のマネジメントにあります。

とは言え、ここには入っていないもう一つの業務、「その他の業務」があります。

こんにちは。BigWaveといいます。公立中学校の現役教頭です。奇妙な生態を持つ教師「教頭」。BigWaveのアジトはそんな「教頭先生」の頭の中を公開する教頭ブログです。

→まだまだハードモード。でも…。

理想で言えば、先生たちの成長や持続可能な職員室実現に関わるようなマネジメントに邁進したいところです。しかし現実はそう甘くはありません。

先生方が授業や授業準備以外の業務に多くの時間を割いているように、教頭も本来求められている役割以外の業務に相当の時間を割いています。

その他業務の筆頭と言えば、「各種調査依頼等への対応」です。全国公立学校教頭会の調査では、「主に時間と労力を費やしている職務」で堂々の2位になっています。これは「ストレスを感じる職務」の回答でも2位となっています。

個人的に時間がかかると思うのは、「施設・設備管理」です。特に築年数が50年を超えている校舎だと、至る所に不具合が出てきます。

照明器具の不具合やカギが閉まらなくなった扉といった軽度のものから、体育館フロアのササクレや破損して閉まらない扉など、中には事故やケガにつながるところもあります。

自分自身、定期的に巡回して見て回るのですが、先生方にも気が付き次第すぐに報告してもらうようお願いしています。

修繕箇所があれば、さらに教育委員会への修繕依頼業者との予定調整修繕作業対応と続きます。修繕箇所が多いので、常にどこか何かの修繕対応をしている状態が続いている感じです。

ただ残念なのは、修繕と言えど予算の上限があることです。修繕依頼を出したものの結局予算が足りずに年度内に修繕されないものも多くあります。これらは次年度、再度修繕依頼を出すといった悪循環に陥っていきます。

その結果、先生方から報告をしてもらったのに修繕されないまま放置されているところがでてきます。個人的にこれが一番ストレスを感じています

このような「その他の業務」に割く時間が非常に多く、本来の業務であるマネジメントに注ぐ時間を圧迫しています。これは子どもの学びを生み出すことが仕事である先生方が、集金業務や修繕業務、SNS上のトラブル対応などに多くの時間を割いている構造と同じです。

校長先生には人事権も予算権もありません。新しく生まれた業務に対応するには、今いる人材で何とかしなければいけません。

人もお金もない中で、教師は増加し続ける業務を何とか消化しようと精一杯努力してきました。

そして幸か不幸か、能力が高い人材が多く、労働時間や休憩時間の概念が無い職場なので、消化不良を起こしながらも何とか取り組んできました。

その結果、中学校教員の時間外勤務(残業)時間は増加し続け、昭和41年に1週間で2時間30分だったのが、平成18年には19時間、平成28年には24時間に膨れ上がりました。(資料

そしてこれに休憩ない問題や仕事持ち帰り問題も加わり、公務員でありながら超ブラックな職場になってしまいました。

とは言え、ここ最近教師のブラック度合いが世に認知されだしたことで、文科省や教育委員会が労働環境の改善に乗り出し、学校内の環境が少しずつですが変わり始めています

教頭会の調査でも「校務支援スタッフの配置」がされている学校が6割を超えています。教頭のサポートのみならず教職員全般のサポートといった位置づけですが、非常にありがたいです。「副校長・教頭への効果」の質問で「事務的な仕事が減った」と81.6%の方が回答しています。

他にも、スクールカウンセラーの勤務日数の増加、不登校対応専任の支援員や支援教育専任の支援員、ICT関連のサポーターなどの配置も進んできました。

実際、平成28年度と比べ、1週間当たりの在校時間(時間内勤務時間+時間外勤務時間)は、63.20時間から57.24時間と6時間ほど減っています。(資料)ちなみに副校長・教頭は63.40→58.50です。

教員の担い手不足解消と相まって、学校に専門職の人材が入ることは、担当者がいないので教頭が担っている「その他業務」の削減に効果絶大です。個人的には、栄養教諭や栄養士が常駐して、今すぐにでも給食業務から解放されたいです。

状況は改善に向かい始めていると感じています。改善がさらに進んで行くことで、教頭を含む教職員が「その他業務」から解放されて、本分である業務に専念できる環境になっていってほしいと切に願っています。

私としては、世の中の変化に対応できる教職員集団となれるように、教頭として出来ることに毎日楽しみながら取り組んでいきたいと思っています。

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