「職員室の担任である教頭がすることは?」と聞かれたら、みなさんはどのように答えますか?
自治体や学校、校長先生によって教頭の業務は大きく変わります。しかしその本質はマネジメントにあると私は考えています。
こんにちは。BigWaveといいます。公立中学校の現役教頭です。奇妙な生態を持つ教師「教頭」。BigWaveのアジトはそんな「教頭先生」の頭の中を公開する教頭ブログです。

→全ての根底にマネジメント
学校教育法で教頭の役割は「校長を助け、校務を整理し、及び必要に応じ児童生徒の教育をつかさどる」となっています。
1.校長を助け
2.校務を整理し
3.必要に応じ児童生徒の教育をつかさどる
4.マネジメント
5.その他の業務
1.校長を助け
これがかなり流動的です。人事面は全て校長担当となりますが、それ以外はカバーする範囲が校長先生によって違うからです。その分担を4月当初に線引きできいればまだ分かりやすいのですが、ほとんどは業務をしながら確認を繰り返すことになります。
校長は学校での教育活動全ての決定者になりますが、正直それは不可能というものです。相談がある場合も、多くの場合、先生方はまず教頭に相談に来られます。
その内容のうち規定事項や教頭の裁量で判断できるものは、教頭が判断し指示を出します。一方、校長判断を仰ぐ必要があると思われるものは、相談に来た先生と共に校長先生のもとに伺います。この辺りのさじ加減には経験が必要です。
私は令和6年4月に他市から異動してきました。教育委員会によって対応が違うことが多かったので、異動当初は毎回校長先生に確認を行っていました。
2.校務を整理し
先生方が業務改善推進の旗振り役になれるように陰で支えます。教頭自ら先陣を切ってもいいのですが、3年ほどしかいない教頭が常にけん引役になってしまっては、持続可能な職員室にはつながりません。
特に最近激増したICT関連の業務は、これまでにない業務なので、「例年通り」を踏襲するだけの組織だと誰の業務でもなくなります。つまり教頭業務になってしまいます。そこからスタートを切ったとしても、早い段階でいかに校務分掌上に位置付けるかが問われます。
教務主任や学年主任など学校運営の要となる先生方には、学校全体を見通した俯瞰的な視野を持ってもらえるよう、働きかけ続ける必要があります。「学校を実際に動かすのは管理職ではなく自分たち」という意識を持ってもらえれば、機動性や柔軟性に富んだ組織に育っていくことができます。
同時に、職員室にいる誰でも考えたことをためらうことなく発信できるような、職場の心理的安全性向上にも時間と労力を注ぎたいです。
教育現場にもこれまでに無い激しい変化が起ころうとしています。それに対応できる組織に変化し続けるには、発想の転換に寛容なマインドセットや、若い先生方・他業種の経験がある先生方の意見も大事にする職場風土が必須です。

3.必要に応じ児童生徒の教育をつかさどる
まず思い浮かぶのは、急にお休みされた先生の代わりに授業に行くケースです。それはそれで必要ですが、「児童生徒の教育をつかさどる」は代わりに授業に行くことだけを指しているのではありません。
毎日授業で生徒とかかわるのは先生方です。その先生方が主体的・対話的に授業力を向上していけるような環境を作ることができれば、それが一番児童生徒の教育にとっては効果的です。
直接、先生方と授業のことについて話をすることを大事にしながら、学力向上担当のサポートや教育委員会との連携、学識者との連絡など、校内の授業改善がスムーズに進むための事務作業もとても重要です。
4.マネジメント
1.校長を助け、2.校務を整理し、3.及び必要に応じ児童生徒の教育をつかさどる、全ての根底にあるのがマネジメントです。
教頭職は平均3年ほどで異動になります。校長職も同じです。トップの2人がそんな頻度で目まぐるしく変わっていきます。
また学校はほぼ全ての業務を顔見知りの人との間で行います。加えて外部からの干渉を否定的に感じる方も一定数います。そういった理由から職員室は閉鎖的と言われています。
そんな状況でも時代に流れに追いつき、落ち着いた環境で教育活動を持続的に行うには、現場の先生方の視野を広げ、主体的・対話的に力を付けていく以外に方法は無いと考えています。
教頭職は「校長を助け、校務を整理し、及び必要に応じ児童生徒の教育をつかさどる」ことで、持続可能な職員室を実現していけるポジションです。
私が教頭とそれに先立つ首席(主幹教諭)時代の約10年間で、必要だと感じ取り組んできたことは、「教師としての成長・心理的安全性・持続可能な職員室・環境整備」の4つにまとめられます。
教頭5年目も、この4つのキーワードを念頭にマネジメントを行っています。5.その他業務についてはまた次回書いてみようと思います。