前回、「職場の目標」について少し触れました。今回はその点について、もう少し深掘りしてみます。
みなさんの学校で、職員全員が目指す共通の「職場の目標」はもう共有されているでしょうか?
すでに全職員が教育活動の目的を共有できているのなら、それが一番です。新学期早々、最高に素晴らしいスタートを切れていると思います。
でも実際の所、「何だろ?」って方も多いと思います。
「校訓」や「教育目標」、「学校運営方針」が全職員が目指す「職場の目標」になるのでしょうか?
こんにちは。BigWaveといいます。公立中学校の現役教頭です。奇妙な生態を持つ教師「教頭」。そんな「教頭先生」の頭の中を公開します!

・自分たち事にする。
何かを決める時に、「A先生とB先生の考えが違うので、話が進まない。」ってことありませんか?
「社会の規範を守らせたい。」と「これまでの常識を疑う視点を持たせたい。」はどちらも大事です。
もちろん100対0で決めることではなく、どこかに両者の納得解を見つけていくことになります。
その時必要なのが、「最上位目標」(「学校の「当り前」をかえてみた。」工藤勇一著)です。
お互いの立ち位置が離れていても、目指す目標が同じなら歩み寄ることができます。
学校で、みんなで共有している一番大事な指標にはどんなものがあるのでしょうか?
まず思いつくのは「校訓」や「教育目標」です。でも漠然としていたり時代に合わないものもあります。何十年も変わらない指標を使うのはちょっと無理があります。
一番現状に即しているのは、校長先生が年度初めに出す「学校運営方針」だと思います。
学校の現状はもちろん、教育委員会の方針、文科省の動向、世の中の流れ等も考慮されています。
でも多くの場合、先生方と十分共有できていないままに1年間が終わります。また、多くのことを取り込みすぎて、結局何が一番大事なのか分からない場合も多いです。
そこで取り組みやすいように、「教職員みんなで1年間の教育活動の目的を1つだけ決める。」のはどうでしょうか。
校長先生の「学校運営方針」に書かれている内容をベースに、今年度教職員みんなで一番大切にしたいことを考えてみるのです。
その際に、みんなが思っていること、疑問に感じていることを出し合えれば最高です。
時間はかかりますが、こういった活動を全職員ですることで、
①目的を確認・共有していく。
②目的達成を自分たち事にしていく。
③主体的・対話的に行動していく。
の3つの点を実践することができます。
こういった取組みは何も新しいことではありません。
担任の先生なら、学級目標を決める時に実践されていると思います。その時のジレンマを参考に、もう少し注意点を確認しておきます。

なるべく具体的に
多くの意見を取り入れようとすると、「わくわく楽しい居心地のいいクラスで、元気ににこにこあいさつ100%!」なんかに陥りがちです。
意見をたくさん取り込みすぎると、結局何が言いたいのか分からなくて、具体的な行動につながりにくいです。
「目標を達成できましたか?」と聞かれても、なかなか「はい!」とは言えません。
なかまの意見を傾聴し、自分の意見を発表する。
全職員で話し合う時間を持ってもいいですが、人数が増えるほど時間がかかり、自分事感が薄れていきます。
ここは協同学習の理念を参考に、4人位のグループに分かれて行うと密度の濃い対話になります。
傾聴し自分の意見を話すことで、頭はフル回転します。自分の頭で考えたことは忘れにくいです。また本音で話し合うことで、一歩深い人間関係が作れます。
自分の意見が採用されなかったとしても、しっかりと自分の考えを聞いてもらうことで、承認欲求はかなり満たされます。
何より、「自分の考えを言っても大丈夫」という心理的安全性が向上します。
いつも意識する。
クラスでは学級目標を掲示したりします。また終礼などで学級目標を使った振り返りなんかもされている方もいます。では職員室ではどうでしょうか?
人間は忘れるようにできているそうです。意識していないとすぐに忘れてしまいます。年を取るとさらに拍車がかかります。
「大きく掲示する。」「会議の始めに毎回確認する。」「ミドルリーダーが4月に来たメンバーにOJTする。」「具体的な取り組みを発表する」等、いろいろ工夫してみると面白そうです。
とは言え、最大の課題が残っています。4月当初は恐ろしいほど忙しいということです。
目の前の業務をこなすことに忙殺されます。ただでさえやることで溢れかえっています。
そこに「対話型で理解促進系で主体性を育成する研修」をねじ込んで有意義な時間にしていくわけです。よほど工夫して、事前に準備をして行う必要がありそうです。
これまでの「4月始め」の考え方を根本から変える必要がありそうです。
子どもたちは「主体的・対話的で深い学び」をますます実現させていきます。教師も負けじとチャレンジしていかないと、子どもたちに置いて行かれてしまいます。
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