ここ5年ほどで、学習観、生徒指導観、研修観等の学校運営にかかわる業務に大きな転換が起こっています。
とは言え、そんなに言うほど大きく変わっている感じはない学校もまだまだ多いのではないでしょうか?
変わる必要性は感じているのに、なかなか変われない…。そんな状況になっていませんか?
こんにちは。BigWaveといいます。公立中学校の現役教頭です。奇妙な生態を持つ教師「教頭」。BigWaveのアジトはそんな「教頭先生」の頭の中を公開する教頭ブログです。

→学校外と学校内で考え方が違うから
年明けすぐに、校内自主研修をしました。その中で一人の先生からこんな質問をもらいました。
「一般的な会社だと、問題があるとすぐに解決できるのに、どうして学校はなかなか解決できないんでしょう?」
こちらの先生の旦那さんが一般企業にお勤めで、学校での課題を話していると、「そんなことがあったら会社だとすぐに解決できるのに」と言われたそうです。
私は一般企業で働いた経験はありませんが、確かに会社ならすぐに解決できそうと思う課題がたくさんあります。
例えば電話の対応時間です。勤務時間が8:30~17:00なら、その間だけ電話対応すれば解決です。8:25にかかってきた電話に出る必要は全くありません。でも現実の学校は違います。
17:00以降の勤務についてもそうです。普通、勤務時間が17:00までなら、17:00以降は働かなくても構いません。当たり前です。でも現実の学校は違います。
なぜ学校は違うのでしょうか?
校内自主研修で質問をもらった時は、外発的動機付けやら内発的動機付けやらの話をしましたが、話していた自分自身が納得のいかない説明になってしまいました。
そんな中、「教職エンパワーメント(浜田博文 著)」 を読みました。そこに「まさにそれ!」と言ったことが書かれていました。
私なりに解釈してまとめてみます。文科省から教育委員会そして学校管理職に至るまで、それは巨大なヒエラルキー組織であり、指示は上から下へ下され、それに従って行動することが求められます。
いじめ動画が拡散した時などは、ほんの数日で各校でいじめ調査を行うよう上から指示が降りてきます。
一般的な企業も、多くはヒエラルキー組織であり、指示系統は明確です。さらに営利団体となると利益を出すために合理的に行動することが求められる側面もあると思います。働いたことが無いのであくまで想像ですが。
ところが学校内の組織は違います。
これまで何度も触れてきたように、学校内の組織はフラットな組織です。(68,113)校長・教頭の2名の管理職以外、他は全て同列です。「教職エンパワーメント」では「ウェブ組織」といった表現もされていました。
文科省から始まるヒエラルキー組織は学校の一教員まで続いているわけではないのです。なぜそんなことが起こるのでしょうか?
一般企業でも役所でも、職級が細かく決められています。一人の上司が見る部下の数は多くても10名程度です。(スパン・オブ・コントロール)
ところが学校では、ヒエラルキー的に考えると、校長ー教頭の下に数十人の部下がいます。(私の場合は40人弱)そんな環境では、個々の部下がある程度自立して行動しないと業務が成り立ちません。
まして教職は専門職です。体育科出身の校長先生は、音楽の授業の指導について専門的な助言をすることはできません。
また教員は専門職でありながら、幅広い業務も担う総合職でもあります。「教職エンパワーメント」ではゼネラリストと表現されていました。
一人の教師が本来の専門的な学習指導に加え、生徒指導や進路指導、人権教育に食育など全てに関わっています。つまり、校内全ての教師が全ての業務の当事者になっているのです。これが私が学校組織がフラットな組織だと感じている理由です。
「教職エンパワーメント」では学校組織を野球チームではなく、サッカーチームにたとえています。非常に分かりやすい例えだと感心しました。

と言うことで、文科省からトップダウンで下ってきた指示は、学校組織の入り口にいる学校管理職で一旦停止します。そこから校内のフラットな組織に広めていくには、トップダウンの発想では浸透していきません。一人ひとりの納得と判断が必要になります。
これは学校内で起こる課題の解決についても同じです。
校則を変更する場合、校長からのトップダウンで指示することはできますが、おそらく先生方の行動は伴わないでしょう。生徒指導に関わっている当事者の一人として、意思決定のプロセスに加わっていないと、決定事項に自主的・主体的に取り組めないのが教員なのです。
始めの質問に戻ります。「一般的な会社だと、問題があるとすぐに解決できるのに、どうして学校はなかなか解決できないんでしょう?」
「それは学校組織は上意下達が機能するヒエラルキー組織ではなく、専門的に明確に役割分担されている組織でもない。全員で全ての業務に取り組んでいるフラットな組織なので、一つのことを決めるのにも全てのメンバーの同意や協賛が必要だから。加えて、それをするには時間がかかるが、そんな多くの時間を掛ける余裕がないから。」
始めに思い付きでした説明に比べるとはるかに自分自身でも納得できる回答になりました。教育委員会が力を入れて行いたい改革も、学校ではなかなか進展しないのもこれが理由なのかなと思います。みなさんはどう思われますか?