みなさんはどうやって成績を出していますか?私が勤務する学校では、みんなEXCELを使って成績を出しています。多くの学校も同じかなと思います。
でもEXCELを使っているのは分かっているのですが、EXCELを使って他の方がどうやって成績を出しているのかご存じですか?
こんにちは。BigWaveといいます。公立中学校の現役教頭です。奇妙な生態を持つ教師「教頭」。そんな「教頭先生」の頭の中を公開します!

- 共有することで、時短・人材育成・リスク管理の一石三鳥
私が教師になった当初は、まだ定規と電卓で成績を出していました。評価締め日前は、ひたすら電卓を叩いていたのが懐かしいです。
EXCELを使うと計算をする手間が無くなるので感動ものです。
当時は強力な時短方法でしたが、今ではそれが当たり前になりました。ここで短縮された時間はどこに行ったのでしょうか?
最近は、校務支援システムで一括管理できている学校もあります。とてもうらやましいです。
教科の評価は教科担当が責任を持って行います。経験豊富な先生も1年目の先生も同じ責任を担うことになり、職員室にいる多くの先生が評価活動を行っています。
でも、EXCELを使ってどうやって評価を出しているのかは、お互い知らないことが多いのではないでしょうか?
実際、私が勤務していた学校でも、長らく他の方の評価の算出方法までは確認していませんでした。
でも「お互い知らない」ことが、イレギュラーな対応が発生する原因になってしまいます。
通知表をもらった生徒から、「評価がおかしいと思う」と相談があった場合、対応するのは教科担当者です。
「後から提出した評価材料を加えるのを忘れていた。」などは単なるヒューマンエラーであり、真摯に反省して謝罪し、迅速に正しい評価を算出の上、生徒本人と保護者にお伝えすることになります。
でも、「評価材料は適切にエクセルに入力しているのに、出てくる評価がおかしい…。」と言った場合、ブラックボックスを開封することになります。
エクセルそのものは計算ミスを絶対にしません。エクセルに入力したのに適切な評価が出てこないのは、100%ヒューマンエラーです。
例えば、データを計算する際にコピペしてデータを移動させているケースでは、成績処理の過程全てに貼り付けミスというリスクが発生します。
他にも関数が間違っていて違う数字を引っ張ってきている。計算式が間違っていて、想定以上の人数が対象になっているなどがよくあるケースです。
担当者本人は正しく処理をしたというバイアスがかかっているので、ミスを発見できないことがあります。また経験が浅い方なら、その後の生徒・保護者への対応についても不安だらけです。
第三者とともに、ミスを発見し同じことが起きないよう改善策を考え、事後の対応についても一緒に対応していくことが大切です。
ただ、そんなミスはできるだけ回避したいです。そこでやってみたのが「成績用EXCELの共有」です。
パソコンに長けていた先生に承諾いただき、使っていた成績用のEXCELファイルを使わせてもらうことにしました。マクロなどは使わず、一般的なEXCELの知識だけで使えるファイルでした。
親近感を持ってもらうために「むらたん」と命名して、先生方全員に使ってもらいました。
成績用EXCELファイルを共有した目的は4つです。
1.事前によくあるミスを回避できる。
2.問題が発生した時にすぐに対応できる。
3.教科担当者が一人で責任を背負わなくてもいい。
4.日頃のOJTがしやすくなる。
5.一定の統一した説明をすることができる。

1.事前によくあるミスを回避できる。
コピペしなくてもいいようにするだけでもリスク軽減になります。またセルに、よく起きるエラー(評価がいきなり2段階上がる等)を知らせる機能を付けておけば、事前にミスが防げます。
2.問題が発生した時にすぐに対応できる。
同じエクセルファイルを使うことで、コピペミスや関数ミスの可能性は無くなるので、別の可能性の検証に時間を使えます。また、成績データの保存場所を決めておくと、データを探す時間も削減できます。
3.教科担当者が一人で責任を背負わなくてもいい。
同じエクセルファイルを使うことで、1年目の先生も安心して、4月当初から評価活動をスムーズに行えます。また生徒や保護者からの質問に対して、足並みがそろった対応ができます。
4.日頃のOJTがしやすくなる。
授業・評価活動と並行して、じっくりエクセル活用のOJTができます。同じファイルを使っているので相談もしやすいです。
5.一定の統一した説明をすることができる。
評価は教科担当者が決めるものです。ただ全てを教科担当者が決めると、9教科それぞれ違う評価方法が生まれることになります。各教科担当者がそれぞれの説明責任を果たせたとしても、生徒・保護者側から考えると非常に煩雑です。誰のために評価か分からなくなります。
足並みがそろわない学校側の対応は、学校への不信感にもつながります。揃えられるところは揃えおくと、こういった不安の多くを取り除くことができます。
「経験豊富な先生も1年目の先生も同じ責任を負う」のが学校現場です。でもこれって正直不可能だと思います。経験に合わせた適切な業務分配ができれば理想ですが、中学校は教科担任制なので、それはそれで難しいです。
成績処理は教科担当者の責任とは言え、全て教科担当者に丸投げするのはちょっと無理があると思います。特に先生1年目の方にとっては、かなり大きな負担になります。
ですから、少なくとも先生方の不安をなるべく減らし、自信を持って評価活動ができるようにしたいです。
そのために、学校として評価活動を後押しできるシステムを作り、職場風土を醸成させていくことが効果的だと思います。心理的安全性の向上にも大きく貢献しそうです。
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