30年前の1990年代、職員室の机の下には一升瓶があったそうです。20年前、学校にはまだ喫煙ルームがありました。10年前、部活動でも休憩時間以外は給水禁止がまだ普通でした。
その30年間に、ゆとり教育の始まりと終わり・道徳の教科化・GIGAスクールなどがありましたが、コペルニクス的転回と言えるような大きな転換はありませんでした。
でも今後10年は、あるいは教師像が変わる大転換が起こるかもしれません。
こんにちは。BigWaveといいます。公立中学校の現役教頭です。奇妙な生態を持つ教師「教頭」。そんな「教頭先生」の頭の中を公開します!

- 教師像の大転換が起こる
昭和から平成にかけて、必要とされた能力は、「協調性、従順さ、勤勉さ、根性、専門スキル、忠誠心、終身雇用指向」(ChatGPT)なんだそうです。今でも必要だなと思える力もありますね。
ただ、これからはVUCAの時代です。(VUCAは重要ワードですので、分からない人は要チェックです)そこでは終身雇用指向なんて通用しないでしょう。従順さもマイナスになる場面が大幅に増えていきます。
ちなみにChatGPTは、「主体性、創造性、変化対応力、デジタルリテラシー、多様性の理解と協働力、学び続ける力」と回答しています。
いろんな研修でもよく出てくるワード満載です。ここで大事にしたいのは、生徒に求められるこれらの力は、大人の自分たちには今まさに求められているということです。
大人がVUCAに対応できるなら、その大人から学ぶ生徒もその力を身に付けていくことができます。
「大人も子どもも、今から必要になる力を身に付けられる場所に学校がなるには?」深く考えて行動することがたくさんあります。
少し前までは就職する生徒もいたので、その子たちには「あいさつする、時間を守る、掃除をする。」と言い続けていました。これは今後も必要な力になりそうです。加えて今からはどんな力が必要になるのでしょうか?
最近、「生成AIで世界はこう変わる」(今井翔太著)を読みました。2024年1月初版の本です。加速度的に進化している生成AI界でいえば、1年も前の本なんてもう過去の遺物でしかないと思いきや、示唆に富んだ内容で、非常におもしろく読ませていただきました。
この本に、「最新の言語モデルであるGPT-4は、すでに司法試験や医師国家試験に合格できるレベルに達しています。」と書かれています。加えて、数学・化学・物理・歴史などは人間より上のレベルの解答ができ、30言語を操り、一流のプログラミングもできるそうです。これが1年前の話です。
一般企業では、生成AIを活用するのが大きな流れとなっています。こんな優秀なものが全ての人の助手になるのです。

もちろん大人だけではありません。生徒も同じです。この優秀な助手をどうやって活用して、自分のものにしていくのか?産業革命やインターネットにも劣らない大きな変化が今後数年で起こるそうです。
併せて次のようにも書かれています。「~、従来の教育方法は成立しなくなるでしょう。生成AIに聞けば大体の疑問は解決し、対話的な議論も可能なことから、現在のように教員が生徒に知識を与える教育形式にも変化が起きるかもしれません。」
ほんの数年先も予測できない激動の世の中で、その先の10年後に必要な力って、どんな力なんでしょうか?教師の本質に関わる課題になっていきそうです。他人事にはしておけません。
「今から必要な力」を明確に理解している方も「ボヤっとイメージはできるけど…」と思う方も、一度自分が思う「今から必要な力」を言葉で表してみてください。言語化できれば共有も可能です。
「ICTとか苦手…。」と敬遠しがちな方も、他人事ではありません。「分からない」と自覚することで、大きな一歩を踏み出せます。
一度、職員室で本気に語り合ってみる価値のあるテーマだと思います。
そしてなぜその力が必要なのか、生徒にも説明できれば最高です。目的を共有できれば、自己決定感につながります。理解が深まっていくと、これまでの授業では足りない部分も明確に見えてきそうです。
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